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まずは自分で自分を愛でる

振付家・ダンサー/ True Colors ACADEMY LECTUREシリーズ「からだのミカタ」出演者

砂連尾 理

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ダイバーシティとは何か、というテーマをもう一度ちゃんと考えたいと思っていました。それもできれば東京2020オリパラ前に、似通ったジャンルのメンバーではなく、異なる文脈の人と対話することで議論の輪を広げたいと。「True Colors ACADEMY(身体のミカタ)」は、セクシー女優の戸田真琴さん、医者である稲葉俊郎さん、そしてダンサーである自分という異なる世界を交わらせる機会と思って参加しました。

「True Colors ACADEMY(からだのミカタ)」では実際に身体を使うワークを中心に構成したところ、参加者の方から「ゆらゆら波に揺れているようだった」「曖昧な状態が気持ちよかった」という感想がありました。社会には色んなカテゴライズがあって、年齢や性別などで人を分けることをしがちだけれど、そのなかで曖昧さを気持ちよく感じるというのは面白いですよね。

曖昧さを楽しんだり、相手を受け入れたりって、余裕がないとできないことだと思うんです。社会では収入や学歴といった数字で評価をすることが多くありますが、それはヒエラルキーをつくることになる。すると勝ち負けの世界になって、極端な話、最終的に勝ち残る人はたった一人。それ以外の人は自分に対してマイナス評価をせざるを得ない。そんな状況では、どんどん個別化してしまって「自分はもう無理だ」と壁を作ることになってしまいます。そうなってしまったら、自分自身を知る、自分自身を感じることが大事。自分を愛でることができた時に、他者との比較ではなく自分にとっての価値基準のなかで自分を生かすことができるのです。そこで余裕が生まれ、他者を受け入れることができると思います。

僕は大学で教えている学生をよく褒めます。最近卒業制作の時期で色々と評価をする機会が多いんですが、大体の先生って論文の悪いところを指摘するわけです。まだ論理が甘い、あの理論を踏まえていない、これは読解が浅い……。それは今目の前のアウトプットに対しての話で、もっと時間軸を広げて褒めるといい。その制作の背景にはどんな活動があって、どんな世界を観てきたのか。自分自身に余裕があると感覚や時間に余裕を持てて、仮に相手がまだ不十分だと思った時も「でもまだこういう見方もできる」と検討できたり自分と他人の間を揺れるだけの波をもてる。そういう余裕を感じる、自分と相手の波を感じるということが、「True Colors ACADEMY」のワークで感じた身体を通した面白さなのかなと思います。

砂連尾 理オフィシャルサイト
True Colors ACADEMY LECTUREシリーズ「からだのミカタ」

True Colors Festival 2020/2021

True Colors Festival(トゥルーカラーズ フェスティバル)は、パフォーミングアーツを通じて、障害・性・世代・言語・国籍など、個性豊かな人たちと一緒に楽しむ芸術祭です。誰もが居心地の良い社会の実現につなげる試みです。

世界的な危機により、私たちは身近な人たちと引き離される経験をしています。でも、だからこそ人とつながること、共に楽しむことの大切さを再認識しました。

新たな環境で、アーティストと観客が、どうやって体験を共有し、共に楽しむことができるのか。みなさんと一緒に考えながら、プロジェクトを展開していきます。

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